不育症の治療のため、私は妊娠中1日2回のヘパリン注射と1日1回のバイアスピリンの服用が必要と医師から言われています。

妊娠判明後、ヘパリン注射を始めてからしばらくして、色々な副作用を経験しました。

中でも吐き気に悩ませられ、自分で注射液に付属のリーフレットやインターネットで調べてみるものの、症状と一致する情報は見当たらずどうしてよいかわかりませんでした。

私が体験した副作用の症状と主治医の先生の見解、症状解消までの経緯について、今後ヘパリン注射をされる方の参考になればと思い記録します。


ヘパリン注射の開始と私が経験した副作用

妊娠判明とヘパリン注射の開始

私は以前から不育症と診断されていため、もし妊娠が判明した場合には専門の医師がいる大学病院に通って治療をすることになっていました。

今回妊娠が判明して、すぐに大学病院に予約をとり診察をうけました。
妊娠前から主治医と相談して決めていたとおり、ヘパリン注射&バイアスピリン服用の治療を受けながら出産に臨むことになりました。

ヘパリン注射&バイアスピリンはどちらも血液凝固系の薬で、使用することで胎盤などに血栓ができるのを防いでくれ、赤ちゃんの命を守ってくれます。私の場合、ヘパリン注射は1日2回12時間ごと、バイアスピリンは1日1回の服用です。

ヘパリンは胎盤を通らないので胎児への影響はないとされていますが、母体に副作用を起こす場合があります。
ヘパリンの主な副作用はたとえば下記のようなものがあります。

ヘパリンの副作用の例

・ショック、アナフィラキシー
血圧低下、意識低下、呼吸困難、チアノーゼ、蕁麻疹等

・出血

脳出血、消化管出血、肺出血、硬膜外血腫、後腹膜血腫、腹腔内出血、術後出血、刺入部出血等

・血小板減少、HIT等に伴う血小板減少・血栓症


・過敏症 そう痒感、蕁麻疹、悪寒、発熱、鼻炎、気管支喘息、流涙等

・皮膚 脱毛、白斑、出血性壊死等

・肝臓 AST・ALTの上昇等

・長期投与 骨粗鬆症、低アルドステロン症

・投与部位 局所の疼痛性血腫(皮下又は筋肉内注射時)

副作用がでていないか、1週間ごとに診察

主治医の先生からは副作用の説明があり、「急な体調不良や全身に発疹が出たらすぐに連絡してほしい」と言われました。

また肝機能などに影響がでる場合があるので、しばらくの間は1週間ごとに診察の予約を入れ、毎回血液検査をして肝酵素の数値を観察することに。

実は過去の妊娠でもヘパリン注射を行っており、同じように1週間ごとの経過観察をしたところ肝酵素の数値がかなり上昇していました。
先生からは「肝臓への負担は一時的なもので、そのうちに数値が落ち着いていく人が多い」と言われつつ、数値が改善するまでの間、肝臓を守るための薬が処方されていました。

今回もおそらく肝臓関連の数値が悪化するんだろうな、、と予想しつつ1週間に一度の経過観察が始まったのでした。

私の副作用①肝酵素の上昇

ヘパリン注射を開始して1週間目の診察。
血液検査の結果、はやくも肝酵素の数値が急上昇(汗)

▼ヘパリン開始1週間後の肝酵素数値(私の場合)



ヘパリン開始前 ヘパリン開始後 上限値
AST 19 82 30
ALT 16 92 23
LD IFCC 145 164 222
ALP IFCC 60 94 113
γGTP 30 91 32

3つの項目で、上限値を軽く飛び超えてしまっています。
つわりも始まりただでさえ体調が良くなかったので、この数値を見てさらに気分が沈んでしまいました。

しかしその後の血液検査では、この時の数値をピークに日の経過とともに数値が落ち着いていった項目もありました。
ただ、γGTPなどはなかなか改善せずゆるやかに上昇を続けていきましたが、妊娠15週頃の検査ではかなり正常値に近い状態に。

さらに、妊娠17週頃には全ての数値がヘパリン開始前に戻りました

15〜17週はちょうどつわりが楽になった頃なので、胎盤が完成してホルモン値が安定したことと何か関係があるのかもしれません。

肝酵素の上昇問題は、私の場合、妊娠17週までには解消しました。



・・・・・


私の副作用②注射箇所の「あざ」と「しこり」

2つ目の副作用は、注射した箇所の周辺の皮膚があざになり、硬いしこりだらけになってしまったことです。

ヘパリンは比較的早く体内から代謝されてしまうということで、1日2回の頻度で注射を行う必要があります。
ところがお腹やお尻がどこもあざとしこりだらけになってしまい、どこも痛む上に、注射を打つところがなくなって困りました。

主治医の先生に相談したところ、ロコイドクリームを処方されました。
これはステロイドの一種なのですが、通常量の使用ではまず胎児への影響はないとのこと。
効果は穏やかで、効いているような効いていないような・・?という感じでしたが、処方してもらったことで気持ちが少し楽になりました。

しこり問題はその後も完全に解消することはありませんでしたが、日が経つにつれて徐々に症状は軽くなっていきました
これは肝酵素数値と同じように、ホルモンなどの関係で落ち着いていったのか、もしくは注射の技術が向上したためなのか、原因はよくわかりません。



・・・・・


私の副作用③謎の吐き気と嘔吐

3つ目の副作用は、謎の吐き気と嘔吐です。
これには肉体的・精神的に一番苦しめられ、何度ヘパリンをやめたいと思ったかわかりません。

最初は、注射を打つ前に針などをセットしている時に「うっ!」と吐き気がしたのが始まりでした。
日が経つにつれてみるみる吐き気は強くなっていき、注射を打つ前に毎回嘔吐するようになりました。
一番ひどい時は、夫との会話中に「注射」というワードを聞いただけで嘔吐したり、時計を見て「もうすぐ注射の時間だな」と思っただけで嘔吐するようになってしまいました。

また、病院でもらう消毒用のアルコール綿にハーブ(ユーカリ)の香りがついていたのですが、ゴミ箱を開けた時などにその匂いを嗅ぐだけでも吐いていました。
これについては、看護士さんにそのことを伝えて匂いのしない消毒綿に代えてもらいました。

主治医の先生に相談すると、

「注射の後に嘔吐するのであればヘパリンへのアレルギー反応が疑われるのですが、注射の前や注射を連想した時に嘔吐するということなので、【予期性嘔吐】ですね」

との回答でした。

「予期性嘔吐」という言葉を聞いたことがなかったので調べてみたところ、抗癌剤の治療を受ける患者さんによく起こる症状だそうです。
以前に抗癌剤の治療で苦しい体験をした患者さんがまた抗癌剤治療を受ける際に、「また苦しいかもしれない」「また吐いてしまうかもしれない」という不安が引き金となって吐き気や嘔吐が起こってしまうそうです。
ひどい場合は病院の建物を見ただけで吐いてしまうこともあるとのこと。

インターネットで調べても、ヘパリン注射で予期性嘔吐が起きたという例は見つからなかったのですが、症状がまさに一致していました。
私の場合、過去の妊娠時のヘパリン注射と流産という結果によってとてもつらい思いをした記憶があるため、そのことが脳に強く記憶されてしまい予期性嘔吐を引き起こしたのかもしれません。

妊娠中は強い薬を飲むことができないので、軽い胃薬や吐き気止めを処方してもらいました。
薬を飲むことに少し抵抗があったため、本当に辛い時に飲むだけにしましたが、薬があることで安心することができました。

吐き気はつわりがなくなるのと並行して軽くなっていき、安定期になると殆ど吐くことはなくなりました。
体調が悪い時などは時々、注射の前に吐き気を感じることはありました。



・・・・・


まとめ

ヘパリン注射で私が体験した副作用は、

  1. 肝酵素の上昇
  2. 注射箇所の「あざ」と「しこり」
  3. 予期性嘔吐

の3つでした。

注射開始した初期にはこの3つの副作用のピークが重なってしまい、あまりの辛さにヘパリン注射をやめたくて仕方ありませんでした。

主治医の先生が原因を説明してくれたことと、赤ちゃんに影響がない程度の薬を処方してくれたことで、なんとか気持ちを折らせずに続けることができました。・・・が本当に辛かったです。一人で毎日泣いていました。

しかしどの症状も、日の経過とともに徐々に軽減していきました。
ピーク時は本当に辛かったけど、止めることなく続けられて良かったと思っています。


今回の記事が、ヘパリンの副作用に悩まれる方の参考になれば幸いです。
副作用には重篤なものもあるため、異常を感じることがあれば自己判断せず、すぐに主治医に相談しましょう。



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