Gerd AltmannによるPixabayからの画像


「自分」とは何なのか

  • 自分が何をしたいのかわからない
  • 自分がどういう人間なのかわからない
  • 自分の幸せがわからない
  • 自分の気持ちがわからない

日々を過ごす中でふと、「自分とは何か」という疑問が浮かんできて心から離れないことはありませんか。
私はあります。

生活に困っていないのに、満たされている感じがしない
人間関係に恵まれていてよい職場なのに何か違うと感じる
飲み会で楽しく過ごしていたのに、帰り道にどうしようもなく虚しい気持ちに襲われる

といった時「自分に嘘をついている気がする」「自分とは何だろう」と思うことがあります。

大抵の場合、原因を考えてもよくわかりません。

買い物や美味しい物を食べて気分を紛らわせたり、人生の良いところに目を向けたり、自己啓発本に書いてあるような「自分で自分を褒める」みたいなことを試してみたりして、謎の「なぜか満たされない気持ち」を押さえ込んで今までの人生を過ごしてきました。

ほかでもない自分のことなのになぜか答えがわからないのは、目の表面についている涙が自分には見えないように、距離が近すぎるからなのでしょうかね。



・・・・・


先日、「ユング心理学入門」(河合隼雄・著)を読んだところ、この疑問のヒントになると思ったことが書いてあったので、読んだ感想をメモしておきます。

「ユング心理学入門」(河合隼雄・著)の感想



印象に残った内容

人間のタイプについて

  • 人のタイプは8種類に分類される
  • 「外向型↔︎内向型」「思考型↔︎感情型」「感覚型↔︎直感型」の、相反する3つの要素の組合せでタイプが決まる

「外向的」と「内向的」

  • 物事に対する態度には「外向型」と「内向型」がある
  • 外向型の人は、興味や関心が外の世界や人に対して向けられている
  • 内向型の人は、興味や関心が内の世界や主観に向けられている

「直感型」と「感覚型」

  • 物事の見方には「直感型」と「感覚型」がある
  • 「直感型」は事物の背後にある「可能性」に目を向ける
  • 「感覚型」は現実的で「事物そのもの」に目を向ける

「思考型」と「感情型」

  • 物事への判断の下しかたには「思考型」と「感情型」がある
  • 「思考型」は法則に従って分類や分析をする
  • 「感情型」は好きか嫌いかの主観的な判断をする

感想

人それぞれに考え方が違い理解し合うことが難しいのはなぜなのか腑に落ちました。

自分と相手の考え方や行動が違う場合、お互いに「どうしてあの人はこんな考え方をするんだろう?」と理解に苦しんだり時には対立してしまうことがあると思いますが、ユングの考えのように人間のタイプが「相反する2つの要素の組合せでできている」と考えると、人と自分が全然違うのはむしろ当然だと言えます。
そして、それぞれに自分の型に基づいて物事をみて判断しているだけで、どちらかが異常なのではなくどちらも正常であると言えます。


さらに、「性格を変えたい」「自分とは違う誰かになりたい」と思うことは、この根本的な自分の機能をそのままに表面の態度だけ変更するか、機能のベクトルを意識的に逆方向に動かすことになります。
いかに無謀で無理をすることになるのかがわかります。

普段ふと襲ってくる虚しさや満たされなさは、どこかで無理を重ねている結果なのかもしれません。
結局のところ、自分は自分にしかなれないので、自分のタイプを理解して上手に付き合うことで生きやすくなる気がしました。

また、本の中では河合隼雄先生がそのタイプの例をあげて説明されているのですが、各タイプの解釈と描写が素晴らしいです。
例えば、外向型と内向型の違いについての説明を引用します。

外向型のひとは、それほど深く考えないのに、適当に話しかけ、適当に黙り、まるでその場面に前からずっといたかのように、全体の中にとけ込んでふるまうことができる。内向型のひとは、当惑を感じ、こんなことをいっては笑われるかもしれぬと思って黙り、ときには、「こんなときは、にぎやかにしなければならない」などという考えにとらわれて、馬鹿げた行為をしてしまって、あとで一人後悔してみたりする。(「ユング心理学入門」P.8より引用)

わかる!とうなづいてしまいませんか?
内向型人間にとっては、胸が締め付けられるような的確な描写です。笑
「入門」とタイトルのついた本ということもあり、とてもわかりやすい例を挙げながら解説がされており、読み物としても楽しく読み応えがありました。



・・・・・



ユング心理学入門: 〈心理療法〉コレクション I (岩波現代文庫)

河合隼雄の処女作であり、日本で最初に著されたユング心理学の本格的入門書。河合心理学の出発点がわかる本であり、後に展開する重要なテーマが数多く含まれている。著者の生涯を通じて重要な位置を占め続けたユング心理学に関する最も基本的な本。文庫化に際し、著者がユング心理学を学ぶに至った経緯を自ら綴った「序説ユング心理学に学ぶ」を併録し、「読書案内」を付した。

ユング心理学をベースにした性格判断がかなり的確で面白かった

「辛口性格診断16」

本を読んだら、実際に自分のタイプが何になるのか気になってきました。

ユング心理学のタイプ分類の考え方をベースにした性格診断ができるサイトが色々あります。
色々試してみたところ、こちらのサイトが「設問がわかりやすい」「各タイプの解釈がわかりやすく面白い」「簡易版と精度重視版の両方試してみたが結果が同じ(簡易版の精度が高い)」だったのでおすすめしたいと思います。

先述の8タイプに更に「知覚型or判断型」の要素が追加された16タイプ診断です。

結果は4つの要素の頭文字をとってアルファベット4文字で示されるのですが、私はINFJタイプでした。
一説によると全人口の1%〜3%しかいなく一番少ないタイプだそうです。

人一倍自分の考えを隠して当たり障りなく振る舞ってしまい、結果として自分でない自分像を作ってしまうのは、同じタイプの人が圧倒的に少ないことを過去の経験から感じているせいなのかもしれません。

自分の診断結果はもちろんですが、他のタイプの診断結果を読んでみるのも面白いです。
自分とは異なるタイプの思考方法を知ることで、他者への理解も深まり人間関係が豊かになります。

タイトルに「辛口」とありますが、厳しい言葉が書かれているわけでは全くないので楽しんで試してみてください。



心理学

オススメの記事

人気の記事

カテゴリーリスト

キーワードリスト